04, 2006
ミステリ:モーダルな事象
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よくよく考えてみると、桑幸はこの小説の中で一人踊っているだけで、事件とはほとんど関係がない。単に溝口俊平を世に出すために使われただけなのである。さらに春狂亭猫介は、
「あっちから、ダサイおさむらいが来るよ」「ほう、さよう(斜陽)ですか」
というダジャレのためだけに引用され、最後に桑幸のサイン会で目の前に現れる。この不気味さは例えようがない。初めは「猫ひろし」をイメージしていたのだが、そんなかわいげがあるようなものではない。
ミステリとしては、オカルトを絡めた謎と元夫婦探偵の北川アキと諸橋倫敦、そして意外な犯人。構成は緻密で申し分ないが、どうも本筋と関係ない桑幸の印象が強すぎて頭から離れない。作者との類似性を意識しながら、こんな人間けっこういそうだと思うと不気味さもいっそう強まる。
労作であり、ひたすら長い。しかし、桑幸の暗さと元夫婦探偵の軽さが微妙にブレンドされてかなりマイルドなので、読むのは苦痛ではなく、楽しい。
続けて「文芸漫談」を読み始めたが、やはり桑幸は作者にかなり近そうである。要注意!
05, 2005
ミステリ:幽霊刑事
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お薦め度:★★★★★ ★★★★(8)
最近めっきりミステリを読む機会が少ないが、有栖川有栖が時々読みたくなる。
今までに、「孤島パズル」を読んだが、文体の明るさと論理へのこだわりが気に入っている。クイーンの好きな私には相性が良さそうだ。しかも国名シリーズがあるではないか。「マレー鉄道の謎」を読む前に、旧作を読もうと「幽霊刑事」を読み始めた。期待していなかったが、一気に読める。「ゴースト〜ニューヨークの幻」という映画の本歌取りのような設定だが、軽く明るい文体が最後の悲しさを強調している。小説だから深刻なことをコミカルに語れるという部分もあるが、現実でも本当に悲惨な状況で傍からみると滑稽に見えることは多くある。トリックも殺人の動機も、なぜか納得はできない。しかし、この設定は最後まで読ませる装置として確かに作動しているようだ。媒介する人間のキャラクタがけっこう重要なのだが、これは映画と同じく、この小説でもうまく機能している。こういう作品を一気に読ませる力が、作家としては重要に思えてくる。これで、「マレー鉄道の謎」も「双頭の悪魔」も期待できそうだ。
17, 2004
ミステリ:葉桜の季節に君を想うということ
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葉桜の季節に君を想うということ 歌野 晶午 発売日 2003/03 売り上げランキング 5,595 Amazonで詳しく見る ![]() |
お薦め度:★★★★★ ★★★★(9)
現在と過去の事件が交互に語られ、なんとなく変だなと思いつつ読み進めると、
最後に叙述のトリックが明かされる。「やられた」という感じではなく、何か年寄り
には元気が出るような、そんな小説です。
語られるエピソードはとても面白いのですが、なぜ面白いと感ずるか、良くわかりません。
でも最後まで簡単に読めてしまいます。不思議な感じですね。





