太宰治「人間失格」 芥川賞作家ピース又吉の原点
2015/09/20
ピース又吉が「火花」で芥川賞を受賞した。Conglaturations! 彼の文章は好きなのでうれしい。これからも頑張って良い作品をたくさん書いて欲しい。
ところで最近、太宰治の「人間失格」を初めて読んだ。ピース又吉の太宰好きは有名だ。私は学生時代、太宰にはどうしても手が出なかった。陰鬱なイメージが強すぎたからだ。しかし様々な人生経験を経て読むと、その内容がスッと心に入ってくる。
度重なる自殺未遂。派手な女性関係。アルコール中毒、薬物etc。「人間失格」の葉蔵はすべてではないにしても太宰自身を投影した人物だろう。早熟な天才の人生はドラマチックである。
男の私からみると太宰は、ウジウジ悩んで女々しい野郎だと思ってしまうし、女を道連れに自殺するなんて最低のヤツだと思っている(一度は女性は死んだのに自分だけ助かっている)。死ぬのは勝手だが人に迷惑かけるなよ。
が、そういう人間だからこそ書ける世界もあったということなのだろう。そういう男だからこそ女にモテたのかも知れない。流行作家でイケメンで、どこか危険な香りの漂うそういう男に女性は惹かれるのかも知れない。蓼食う虫も好き好き。男女の仲はミステリーである。
人としての太宰はサイテーでも、「人間失格」は名作だと思う。作家はその人格に問題があっても、作品はそれとは切り離して評価すべきだと思っている。
More from my site
関連記事
-
村上春樹氏、ドイツの文学賞を受賞
村上春樹氏がドイツの文学賞「ウェルト文学賞」を受賞しました。毎日新聞デジタル版に …
-
別冊水野和敏 R35GT-R開発責任者による本格派のクルマ批評
日本車よりも外車好きな管理人ですが、GT-Rには敬意を払っております。昔は一番好 …
-
百田尚樹「大放言」を読んでーリアリティある至極まともな内容【感想】
「永遠の0」の作者で今話題の百田尚樹氏による新刊「大放言」を読んだ。別に大放言と …
-
ノルウェイの森 村上春樹
ブックオフで綺麗なものが100円で売っていたので、今更ではあるが読んでみようと思 …
-
『歴史問題をぶった切る』藤岡信勝・竹内睦泰・倉山満ー「強制連行」「従軍慰安婦」「南京大虐殺」自虐史観を正す好著
偏向した歴史教育と長年闘ってきた藤岡信勝氏、左翼講師ばかりの予備校業界で孤軍奮闘 …
-
【読書】日本国憲法は日本人の恥である
掲題の書を読了。著者のジェイソン・モーガン氏は米国人歴史学者で、米国の歴史学会の …
-
国連制圧ー無能な国連を描く実際にあってもおかしくない話
テロリストがニューヨークの国連ビルに侵入し、人質をとって身代金を要求し立てこもる …
-
秋の日の ヴィオロンの ためいきの…
太陽が傾き、日差しが部屋の奥まで入ってくる季節になった。 秋の日の午後。こんな時 …
-
されど われらが日々ー柴田翔
高校生の頃読んだ小説を読み返してみた。内容はすっかり忘れてしまっていたのだが、「 …
-
『世にも美しい数学入門』藤原正彦・小川洋子ー数学に対する見方が変わる【感想】
数学が実は美しいものである、という新鮮な視点を与えてくれる良書。二人の会話調の平 …
- PREV
- 安全保障関連法案可決を支持する
- NEXT
- RICOH CX4 で三日月を撮る